▶A君の日記「おおいなるカン違い」(2013/10/9)

 

最近、Twitterに変な画像がアップされる事件が社会的に問題になっている。これはカメラ付携帯電話、スマートフォン、広帯域通信の発達により起こってしまった事件とも言える。現代社会ではあらゆる場面にお手軽なしくみが構築されており、じっくり考える時間が無い社会になっている。この事件の背景にあるものは、スマートフォンの全機能を電話とカン違いしているところにある。電話は1対1、仲間同士だけでするもの。メールも仲間同士だけでするものと思っている。この時点で間違っているが。その延長でSNSを考えているようである。ここが大いなる間違いなのだ。

匿名掲示板もあるが、これも最近は本当に匿名かどうか分からない。FaceBookに至ってはもう個人情報の宝庫である。最近では監視カメラからFaceBookの記事の個人を特定する実験が行われている。当の本人は匿名なコミュニティの中で舞い上がってしまっているのではないかと考えられる。

今の人は現実世界でのつながりよりネットワークのつながりを大切にしている。一方、主張だけ一人前な人が増えている。なぜか?リアルに井戸端会議や仲間だけの会話をする場所が無い。文句や苦情を言い合える場がない。人間対人間の話し合いがおろそかになっている。このような場所がないからとりあえずインターネットで情報発信する。すると、だれかが賛同してくれる。うれしくなってもっと行う。だんだんエスカレートする。

賛同する人は結構無責任にモノを言っている。匿名だからその場の雰囲気で発言する。ある意味本音であるが責任という言葉はこの時点で頭から消えている。ご苦労なことに、日々の活動や昼食メニューを写真に取り、インターネットに送信している人が多い。著作権や肖像権などややこしい法律があり簡単に善悪が決められない。これがエスカレートするとちょっとした悪ふざけのつもりで送った写真が結果的に世界中に広まってしまって、見なくていい人まで見てしまう。なんというか「平和ボケ」である。通信機能を持ったスマートフォンという情報機器を扱う人は情報発信者としての経験がない。教えられていないから、そんなことは知らなかったと言う。悪意をもってやっていないが結果として妙なことになってしまう。公と個の区別がついていないころが一番の問題である。

そのうちカメラで撮った画像に「この写真は個人で楽しむ以外権利者の許諾なくインターネットに送信することは法律違反になります」という文字が画像の下に勝手に写りこんでしまうようになってしまうかもしれない。インターネットは究極の公の場である。

某TVドラマのセリフで「じっくり考えてから返事しろ」といわれた主人公が数秒後に返事して「じっくり考えたか?」と言われてしまう場面があった。結局その返事は、有効か無効か?主人公が考え込んでしまっている。ちょっと印象的であった。インターネットに文書や写真を送信するとき「じっくり考えてから送信しろ」というメッセージが出る。送信すると「じっくり考えたか?」という説教じみたメッセージが出るソフト。こんなソフトはいやだ。

お手軽さや便利さを過度に要求する人の心理は謎である。いろいろこの業界で話題になっている某市長といい土下座事件といい、この世代が共通な何かがあるのかもしれない。共通点は共に40代前半1970年代生まれの人くらい。あまり理不尽なことを行うと「倍返し」されてしまう。

アプリ開発者やサービス事業者や携帯電話会社はどうしたいのか?「すべては金のため」で動いているのか?「電脳コイル」のような社会にしたいのか?そういえば電脳コイルで電脳メガネの動作原理は解明できないがコピーだけはできたというエピソードがあった。現在の「何でもパクリ・コピー社会」を皮肉っていたのかもしれない。

カン違いと言えば有名な話がある。Xerox研究所でALTOを見たAppleのビルアトキンソンがビットマップディスプレィの描画処理をソフトウェアで行っているとカン違いして、ソフトウェアだけで描画するQuickDrawを造ったという逸話。実際は大掛かりなハードウェアで処理していたがこれをソフトウェアで実現してしまった話。これは「偉大なカン違い」かもしれない。(つづく)

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この物語はフィクションであり、実在するいかなる人物、団体名とも関係ありません。
「A君の日記」の原型は、昔、UNIXのNetNewsでJIP社内に流れていました。
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【出典】
http://wwwd.pikara.ne.jp/c-momo/nikki.html
http://wwwd.pikara.ne.jp/c-momo/nikki3.html

コメント

  1. SNSって、今まで人類が誰も経験していなかったものなんですね。まさか、こんなに簡単に地球の裏側に自分の考えを伝えることができるとは誰も思いませんよね。私が中学のときにはペンパルが流行っていて、雑誌のペンパル欄に書かれていた住所にAirMailを送って数ヶ月経って返事が戻ってきたときには感動していましたからね。環境が変わりすぎですよ。「スマホ脳」という新書本に、「今ネットで起きているトラブルの原因の多くは、環境変化に脳が追いつけていない適応障害である」と書いてありました。脳がこの環境に慣れるまで、まだまだ、カン違いは続くのでしょうね。

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